築30年程になるマンションに住まれているクライアントのお宅に伺ったところ、新築時から使っているキッチンを交換したいとのことでした。基本的なヒアリングを行った後現状の確認や採寸を行ったのですが、どうもいつもと勝手が違います。調べていくうちにセクショナルキッチンをベースにシステムキッチン風にカスタマイズされているのだと気づきました。セクショナルキッチンの存在自体は一応知っているし目にすることも時々あるのですが、仕事で取り扱ったことがないのでこれを機会に少し整理しました。

セクショナルキッチンの定義

セクショナルキッチンとは、一般財団法人ベターリビングにより以下のように定義されています。

流し台、調理台、こんろ台、つり戸棚等の独立した部品で構成されたもの

この定義だけ読むとシステムキッチンとの違いがわかりにくいですが、システムキッチンの定義と並べるとはっきりします。

複数のキャビネットからなるフロアーユニットをシンク付のワークトップにより一体化させ、かつ調理用加熱機器がワークトップに落とし込んで組み込める構造になっているもの

つまり、システムキッチンもセクショナルキッチンもいくつかの規格寸法に沿った部品で構成されていることは同じですが、セクショナルキッチンはワークトップが独立していて、IHコンロやガスコンロがワークトップの下に組み込まれていない点がセクショナルキッチンとは異なります。

システムキッチンの構成。3つのフロアーユニットをワークトップで一体化させている。
セクショナルキッチンの構成。シンクユニットとコンロユニットが別々に構成されている。

セクショナルキッチンのメリット・デメリット

セクショナルキッチンは、その高いユニットの独立性がメリットであり、デメリットでもあります。
ワークトップが分かれているためにユニット単位で取り替えが比較的簡単に行えますが、一方でユニットとユニットの間に隙間ができてしまうので対策を考える必要があります。隙間をシーリング材で埋めたり、専用のテープを貼ることは可能ですが見た目の悪さは避けられません。いっそのことスキマがあることを受け入れる、という考え方もありますが油や液体が接続部の間に入り込んでしまうことを考えると衛生面に劣ります。
一つ一つの部材が交換を前提に考えられているためコストが抑えられているものが多く導入がしやすい一方、意匠性の高さや便利な機能は積極的に取り入れられないのでその点を重視される方にもおすすめはできません。

セクショナルキッチンがおすすめなシチュエーション

ではどういったシチュエーションでセクショナルキッチンが有効かというと次のようなケースが考えられます。

  • 賃貸住宅
    • 賃貸住宅だとどうしても使い方やメンテナンスが持ち家のキッチンと比べてラフになりがちですし、人によって使い方がバラバラなのでコンロはほぼ使われないままシンクの劣化だけが進んでいる、というケースもよくあるのでシンクユニット、コンロユニットそれぞれで交換ができるのは大きな強みです。
  • シンプルなキッチンが欲しい人
    • 近年販売されているシステムキッチンは収納一つとっても質・量ともに便利な仕掛けが盛り込まれていますが、人によっては過剰に感じられるかもしれません。キッチンにあらかじめ備わっている機能は必要最低限に留め、自分が欲しい機能だけサードパーティの製品を組み合わせながら利用することもよい選択だと言えます。
  • 気兼ねなく使えるキッチン設備が欲しい人
    • ハイグレードなシステムキッチンは持っているけど、それで生魚をガンガンさばくのはちょっと抵抗が…。というような傷や匂い、汚れが気になるシチュエーションで簡単な流し機能を持ったサブキッチンがあれば重宝するのではないでしょうか。